能面師・麻生りり子は、伝統技法「写し」から出発し、現代アートと「顔とは何か」という問いを、
制作と研究の両面から探究しています。

ミュートラル
mutral /mjuːtrəl/
mute(抑える、控える)と neutral(中間・中立)を掛け合わせた造語。
感情や意見を持ちながらも、それを過度に表出せず、どちらかに傾く前の位置に静かにとどまる態度、または状態。
沈黙でも無関心でもない。
語ること、語らないことの両方を主体的に選び取る、抑制された中立性を指します。
能面は、無表情ではありません。
その表情は「中間表情」と呼ばれ、次の瞬間に喜びにも、悲しみにも、怒りにもなりうる、一歩手前の状態にとどめられています。
自らを強く打ち出すことも、感情を煽ることもしない。
表情をミュートし、意味をひとつに決めきらないことで、見る人がそこに意味や感情を読み取る余地を残しています。
能面は、「ミュートラルな顔」であり、関係をひらく装置となります。
μ|ミュー
2026年制作 木(檜)、3Dデータ
伝統的な「写し」の技法で制作した能面を3Dスキャンによってデータに写し、そのデータをもとに3倍の大きさへ拡大し、木から切削した作品。
能面の「写し」では、形だけでなく寸法も写すべき対象となります。
《μ》では、その尺度をあえて3倍に拡大することで、「写し」から意図的に逸脱しています。
一方、3Dスキャンや切削の各工程には、人や機械が介在し、その都度、欠損や加工痕などの痕跡が生じます。
それらの痕跡を、写しの過程で生じたものとして、そのまま受けとめる。
意図的に逸脱すること。
生じた痕跡を受けとめること。
《μ》は、その両方を含みながら、「写し」をひらいていく作品です。

能面という〈顔〉を起点に、
「顔とは何か」「人はどのように顔を見ているのか」という問いを、
企業や大学と連携しながら、研究・制作・発信の形で探究しています。
▶ 能面×科学・技術
顔の立体データ測定(TOPPAN・バーチャルヒューマンラボ)
顔認知の研究(IPUT・上條研、鈴木研、フォーラム発表)
▶ 能面×芸術・物語
メディアアートとしての能面(IPUT・鈴木研、インタラクション2023)
漫画家・日野日出志との能面創作プロジェクト
「能とAMABIE」研究(兵庫県立大・田中准教授)
▶ 科学×表現(拡張的活動)
サイエンスアゴラ『未来スタジオ』(脚本)
科学ドラマ『ママはロボット』JST(脚本・大賞)
企業や研究機関との協働を通じて、能面を軸に“顔”の文化的可能性を広げています。
これまでの主な研究活動をまとめています。
■ 学術研究・講演活動歴
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2025 日本顔学会誌『Essential Role of Real Faces in Face-to-Face Communication』
共同研究:インディアナ大学押田良機名誉教授 -
2025 日本顔学会『フォーラム顔学2025』「笑って喋る3D能面―仮想空間内の光源操作による能面3Dモデルの顔性の生成―』発表・オーディエンス賞受賞 共同研究:TOPPN HD.田中由人氏
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2025 日本顔学会『フォーラム顔学2025』「能面はどのように『面影』を生成するか──能面の装置性と中動態的生成構造」研究発表 共同研究:インディアナ大学押田良機名誉教授
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2025 日本顔学会30周年記念シンポジウム『顔の未来デザイン』「未来の顔」発表
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2024 第32回美人画研究会「縄文顔・弥生顔の比較」研究発表
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2024 日本顔学会ニューズレター動画コンテンツにてインタビュアー活動開始
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2023 日本顔学会『フォーラム顔学会2023』「人はどのように能面を見て感じるのか?」研究発表
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2023 感性工学会『第25回感性工学会大会』「能面を鑑賞する際の視線移動と注視箇所の分析 」展示発表
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2023 第27回 情報処理学会『INTERACTION 2023』「能面の魅力を新たな形で提示するメディアアートの試み 」研究発表
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2022 畑江麻里の浮世絵講座「おもしろ能面ミニ講座」ゲスト講師
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2022 都内大学リベラルアーツゼミ ゲスト講師
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2022 第2回美人画研究会・顔学会連携企画「思いを伝える表情・表現と美人画」ゲスト講師
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2022 兵庫県立大学 田中キャサリン准教授論文協力「アマビエ」
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2021 都内大学人工知能ゼミ、リベラルアーツゼミ ゲスト講師
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2017 市民エンパワーメント研修・脚本(川崎市岡上分館・川崎市教育委員会)
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2014 『未来スタジオ―夢を叶えるテクノロジー―』脚本(未来科学館、科学技術振興機構)
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2013 第4回科学ドラマ大賞受賞作『ママはロボット』脚本(BSフジ)
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2012 第4回科学ドラマ大賞・大賞受賞(独立行政法人科学技術振興機構)








