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Performance Art
ーMENdroidー

ドロイド

能面 × アンドロイド

​能面とアンドロイドには類似性を見ることができる。どちらも人間が人間を超越したものを作ろうとして作られている。どちらも無表情、無感情に描かれる。なぜなら、それらは生きた人間ではないからだ。そのくせ、どちらも「心はあるのか」「魂はあるのか」と繰り返し問われる。それらは人の姿形に似ており、時にあたかも心や感情があり、生きているのではないかとふと錯覚に陥らせてしまうことがあるから。

​能面とアンドロイドは似ている。少なくとも私はそう感じ、両者の融合を試みる。

「顔」という存在

人間の脳は、顔に敏感に反応するようにプログラムされている。逆三角形に配置された3つの点を顔だと認識するシミュラクラ現象は赤ちゃんにも備わっており、パレイドリア現象は本来顔ではないものも顔に見えてしまうという錯覚を引き起こす。我々は「顔」を検知してしまうようにプログラムされている。

 

人間の存在を顔で検知するとしたならば、「顔」である能面が存在の主体であり、その下の身体はアンドロイドの機械仕掛けのボディのようなものに過ぎない。存在の主体である能面に、私はこの身体を提供する。

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『木偶(でく)』2021年作 「私」の思考は停止し、抜け殻となった私の身体を主体である面に差し出す。面の下の身体に意思は無く、身体は面に操られる木偶と化す。 思考を停止した現代人は皆おのずから能面に身体を預け、その指令によって動く面ドロイドと化す。そんな未来がが来るのはそんなに遠くではないのかもしれない。

『転写』2021年作 能面制作の歴史の中で、「写す」ということを非常に重要視された時代がある。 主体である面は、面の下にある身体に己の顔を転写し、己の「写し」として機能させる。

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『面ドロイド、自己増殖す。』2021年作 能面制作の一つの手法として、「写し」を作るという考え方がある。面ドロイドが己の写しをつくり、クローンを作るが如くに自己増殖していく。

『面ドロイド、日常を生く。』2021年作 面ドロイドは、私の身体を使い、生活をし、生きていく。 人間の顔に似ているけれど、顔だけの存在であった能面は時に不気味な存在と感じられ恐れられる。このことは、ヒューマノイド型のロボット同様、「不気味の谷現象」に当てはまると考えられる。しかし、この不気味の谷を越えると、人間はもはやそれを限りなく人間に等しいものと感じ親近感を覚える。面ドロイドは不気味の谷を越え、もはや心を持った人間のように思えてくる。

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『面ドロイドKAGUYA、月に還る。』

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